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「横浜隼人高校・中学校」(3) 日本一を目指して

31  横浜隼人は神奈川県でも有数の進学校であるが、クラブ活動も盛んな学校。そして、女子卓球部の活躍は他のクラブの刺激にもなっているようだ。

「学校の人気は年々高まってきています。女子卓球部のほかにもいくつか強化部があり、部活動も女子卓球部に影響されてか、年々盛んになってきています」と豊田先生は話す。

「教育の場所ですから強くなればいいではなく、人を敬う心だとか子供のうちに教えていかなければいけないことがたくさんあります。素直な心、時間を守るなどスポーツをやりながら覚えていくことはたくさんあります」と小林氏は言う。

 ところで、横浜隼人の特徴の一つにスタッフの多さをあげたが、スタッフが多すぎて選手が混乱することはないのだろうか。

「よく指導者の方々はいじられるのは嫌いますが、私はそんなことはないと思う。方針さえしっかりしていれば、いろんな人から教わることは子供を成長させます。確かに迷うことはあるかもしれないが、でも、それは進歩する過程です。私がぶれなければ問題はありませんね。もし、迷った時は自分で聞きに来なさいといっています。どういうことをこの人はアドバイスしているのかこっちもわかりますから、理論的に教えてくれる方も多いし、子どもたちの卓球の知識を覚えていくにはいいと思います。私が毎日見ていて、誰かのアドバイスのいいところを理解させて、わからないことは取捨選択することを覚えさせていっていけばいいのです。学校の中のスタッフは4人。私と、豊田先生、岸先生、渡辺先生。そのほかに20人くらいいますから恵まれていると思います」

32 そして、スタッフはもちろん練習相手を兼ねている。口だけでなく体を使い、身をもって熱心に教えてくれる人が多いというだけで、選手には「感謝の気持ち」が芽生える。多くの人が協力しているからこそ一生懸命になり、日々の厳しい訓練を続けられるし、当然、試合では簡単には負けられない。

 スタッフの方々の熱心さには頭が下がる思いがする。

 先生方は「伝統がない」と謙遜するが、それはおそらくインターハイに何十年も出場している学校と比べているだけで、横浜隼人にはすでに立派な伝統が築かれていると思う。

 最後に4人の先生方にそれぞれ抱負と目標を聞いてみた。

渡辺先生は、「目標は日本一になりたいというのがあります。中学は全国で3位になれましたが、1位と3位は全然違うんだろうなと思うし、まだまだ全然遠い感じがしたので、最終的に日本一にならせたい。抱負というか教員としても分からないことはたくさんあるので、とにかく毎日勉強していきたい。選手とは年も近いし、同じ女だし、お姉ちゃんみたいな感じで、その辺の距離の取り方と怒り方が難しいです」と話す。紅一点の渡辺先生が果たす役割はとても大きい。

「具体的な数字をあげるなら全国で優勝したいというのはもちろんありますね。ただ、今は小林先生がやっていただいている部分が強いですし、小林先生のカラーというのがすごくでてきている。何年後かに私たち引き継いだ時にどうするかという準備を含めてやっていかなければいけないなと思っています。今から作っていくというのが、結構まだまだ不備なところがたくさんある。その辺をひとつひとつクリアしていきたい。それから、選手はいつか卒業していきますから、卒業してどこかでつまずいてしまった時に立ち止まるというか元気を取り戻しに帰ってくる場所を作っていきたい」と岸先生。今後、小林イズムをどこまで継承していくか期待される。

「中学は日本一になりたい。中島たちが準優勝で去年は3位になりましたけど、表彰式というか準決勝・決勝の雰囲気を味わうと、やっぱり頂点に立ちたいなというのが大きな目標。どこの学校も大きな目標を持っていますが、知り合いの先生で日本一になっている方とたくさんお会いするので、やはり日本一は格別なものであろうと。そのためには何をすべきかと模索しながら、中学は絶対に日本一をとりたいというのがあります。高校は外国人選手を抱えている学校も多いですからなかなか勝つくとは難しいかもしれませんが、3位入賞を目標に、ぜひ狙ってみたいなと思います」と豊田先生。とても厳しく、そして暖かい先生だ。

「目標は日本一ですよ。中学も高校も。中学は1年目が2位で去年が3位。夢を描くと険しい目標だと思うけど、そこは外したくない。高校は、隼人なんか出来たばっかでと思われていいますが、それに向かって慢心するのみ。目標はベスト4とか普段は言っていますが、内心は一つ当たればという思いはあってやっているからやはり日本一ですよ。それは私自身も至難の業だと思う。でもそこに向かってチャレンジしていくというのが、夢を実現していくのはすごい目標ですよ。その過程で、2位になったり、3位になったり。最終的には高校で日本一になりたい」と小林先生は熱く語る。日産自動車の監督時代には幾度もの日本一を経験している小林先生の新たな挑戦だ。

33先生方はそれぞれ語り口は違う。それぞれ抱負も違う。だが、目標の「日本一」は共通ワードだ。

おそらく選手も心に秘めたものがあるはず。そうでなければ、これだけ厳しい練習に元気よく立ち向かうことはできない。

これまでいろいろな学校を訪れてきた。ほかの伝統校と比べても横浜隼人の「元気の良さ」「素直さ」「チームワークの良さ」は間違いなく全国でもトップクラスであると実感している。

 今後、横浜隼人がどのような伝統を築き、どこまで登りつめていくのだろうか。とても楽しみである。