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「横浜隼人高校・中学校」(2) 指導者を信じ、選手を信じ、練習を信じる(三信)

20  3年前の4月に小林氏が就任し、8月の全国中学校大会で横浜隼人は準優勝を飾った。ささやかながら祝勝会を開いてくれた学校側もこの快挙に反応していく。はじめは教室で練習していた環境だったが、実績を残すごとに変化し、今では10台以上が置ける専用の練習場を提供してくれるようになった。

 しかしながら、まだ十分ではない。寮もなければ、高校にはスポーツ推薦もない。全国各地から選手を集めている伝統校には程遠い。家が遠い選手は1時間半から2時間もかけて通学している。だが、選手はそういった苦労をした分、精神的にも鍛えられているようだ。

 学校がある時の練習は、授業が終わって午後3時から7時45分まで。休日は午前9時半から午後5時半が基本。そのほか、試合前や連休などに合わせて年に数回、校内合宿を行う。合宿の時は、朝の6時半からトレーニングをして、夜の10時、11時まで練習をやり込む。この時は保護者の方が協力して食事などを用意する。だが、これでも時間が足りないと小林氏は言う。

 そのほか、学校のバスで四国、中国地方まで年に数回遠征する。遠征の時は豊田先生と岸先生が運転手。行き帰りは選手を寝かせ夜通し運転する。

「子供たちが寝ている時に運転し、起きていても運転している。すると子供たちも先生に連れて行ってもらったんだという感謝の気持ちを持ちます。『先生はみんなの安全を考えていろいろなところへ連れて行くのが大きな仕事。だから、みんなは行った時に練習したことをしっかりと発揮できるように試合をやりなさいと』とよく話します。それで一体感は生まれますね。子供たちがそういうことに対して、感謝する。一番大きいのは費用です。あと、着いてからの移動が楽ですね。遠征のときには自分でもかなり気合を入れていきますから、特別な力が湧くような気がします。あとは事故だけはないように神経をとがらせています」と豊田先生は話すが、大型バスを夜通し運転するのは並大抵のことではできない。もちろん、全国大会等もバスでの移動が多いので、年に5〜6回はバスで遠くまで遠征することになる。昨年の全国中学校大会も青森までバスで行き、そして3位入賞を果たした。

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練習量は全国的に見ても見劣りしないが、試験や学校行事などに合わせて一ヵ月に1、2回は気分転換を含めて休みの日を設けているという。特に中学生にとってはこれだけの練習についていくだけでも体力的にかなりきついはず。体力と集中力が持続するように休日の取り方も工夫しているようだ。

 練習計画、練習内容については小林氏が組み立てる。その時々でメニューは変わるが、基本的には『フットワーク』と『スマッシュ』を取り入れている。

「今の卓球は早いし両ハンドを使うから勝ちにくい。しかし、この子たちには卒業してからも大学や社会人で長く卓球をやってほしい。その時に今やっているフットワークが役に立つ時が来る。だから今のうちにしっかりやっておけとよく話します」

 今、勝つのか、先の将来に勝つのか、この判断はとても難しい。

 だが、前にも述べたが、横浜隼人の選手はみんな元気である。練習中によく声を出し、動き回っている。このあたりを見る限り、小林氏の考えが浸透しているように思える。

「今年自分で休んだことはたぶんない。去年は突如入院したことがあったけど。絶対に休まないね。一番早く来て、一番最後に帰るのが基本。ここ(練習場)1日たっていられなくなったら指導者じゃないから、それがまず、最低条件。それが苦になるようになったら身を引こうと思っていますが、それは全然ない。24時間練習を見ていても飽きないですよ」と小林氏は笑うが、その熱意が伝わってくる。選手もその熱意は強く感じているはずだ。

22 「三信と書いてあるが、私の言っていることをみんなが信じ始めている。私が行っていることをやっていれば可能じゃないかと。必ず私は、3信で、指導者は君たちを信じる、だけど君たちも私をどれだけ信じているか。その度合い、強さがチーム力をアップさせる。信じるということは、誉めるだけじゃなく、ダメなことは怒るし、強くなるためにはいろんなことにチャレンジするし、だから苦しいこともあるだろうし、だけど、そういうことを信じているから言える。君たちも信じているから苦しいけどやろうとする。そういう話をよくします。最後は当たり前の如く、練習はうそをつかない、練習を信じなさいという。それは量も質も含めて。それが3信だよと。だから練習に対しては妥協しないところがあるから、私の練習は厳しいと思っているかもしれない。だけどすごくむちゃくちゃやるなとは思っていないと思います」

 横浜隼人は、伝統はないとスタッフの先生方は口をそろえるが、もうすでに伝統となる土台は固まりつつある。それはまぎれもなく選手と先生方、たくさんのコーチスタッフ、保護者の方々が築きあげているものだ。そして、全中準優勝メンバーがいよいよ高校3年生となった。ここまで築き上げてきたものにさらに上積みしてインターハイに挑戦する。