仲間に入ればトクをする! 用具とお店の総合サイト 卓球仲間
卓球仲間は、卓球を愛する皆様のためにさまざまなサービスを提供するためのサイトです。   店舗セール 卓球仲間ショップ検索 クローズアップレビュー 大会情報 リンク

『十六銀行』(3) 卓球が社技

30  十六銀行の特徴の一つとして卓球が「社技」として位置づけられていることがあげられる。年に一度の「行内卓球大会」には約3,000名が選手として、また応援者として参加し一日卓球を楽しむ。この大会は以前に卓球専門誌にも取り上げられたことがあるほど。その盛況ぶりは益々過熱しているようだ。

「校内大会は59回になります。卓球台が置いてある支店もあり、卓球はやってみると面白いスポーツなのか、みなさんいつの間にか楽しんでいるようです」と河田靖司監督は話す。

これだけでも十六銀行の卓球に対する力の入れ具合がわかるが、さらに頭取が卓球部の後援会会長を務めていることも心強い。

 ところで、河田監督は、十六銀行に卓球が目的で入社したわけではない。一般の行員として入社し、半年ほどは卓球部の手伝いをしたが、その後、約10年間はまったく卓球から離れ、仕事をしていた。前任の飯田監督が定年したことで、急きょ、河田監督に白羽の矢が立ったという。

「自分から卓球をやりたいといったことはないので、10年くらい仕事していたのに声がかかりビックリしました」

 それから河田監督の人生が大きく変わることになる。

「選手は8時40分くらいに集合しているが、僕は8時に自分の職場に出勤して、練習場に来るのは、自分の中で決めているのは、一コマ目が10時35分に終わる、その5分くらい前に到着するように来る。練習はコーチ、トレーナーがいるので、技術的には全面的に100%お任せなので、ぼくは休憩時間を狙って来ます。最後、5分間ボールを拾って、休憩に入る時には選手が球拾いをすることなく休憩に入れるように、その時間を決めている。休憩時間にいろいろな話をしたりします。もう一コマが終わって、いったん、職場に戻って、午後も同じように、休憩時間の5分前に来るようにしています。うちはマネージャーがいないので、ぼくはマネージャー的な部分もある。コーチと意見が対立することもないし、トータルではいいバランスではないかなと思っています。マネージャーがいたら楽だなと思う時もありますが、自分でやった方が早いし楽だなということが多いので、体力が続く限りは今の体制で充分だと思っています」

31  河田監督は、練習の中身や選手の技術的なことに関してはコーチに任せ、フロントとしてチームをまとめ選手をサポートする役に徹している。さらに、広い会場を借りきって練習を行う時は、その準備をひとりでこなすというからすごい。

「準備する時に体力的にきついこともありますが、選手が到着し、すぐに練習ができるように完成させたいという気持ちでやっています。よそでやるから選手が負担になるようなことはしたくない。選手からもみんなでやればいいじゃないですかといわれますが、あそこで練習するから台出ししなければいけないというのでは続かないと思うので、僕ができる限りはやってあげたい」とさりげなく話す。

実は学生時代は関東学連で幹事長をつとめたほどの逸材。裏方として選手のために働くことをまったく苦にしないところが河田監督の持ち味だ。

 さて、3連覇を目指した全日本実業団。十六銀行は決勝戦で日本生命に敗れ2位に終わった。日本リーグの決勝戦では肉薄したが、今回は残念ながら一矢を報いることもできなかった。

 やはり、日本生命は大きな山である。だが、大きな山があるからこそ、人はそこに挑み続けるのではないだろうか。

 馬渕貴好卓球部長はこう話す。

「ひとつは大会で勝ち抜くだけの強い力がないと部の存続意義がないと思いますので、まずそれが第一。あとは、企業スポーツなので、十六銀行の行員から好かれて応援していただけるようなそんなチームでなければならない。3つ目は、十六銀行ってなんなのっていうと、地域の皆さんに支えていただいている企業ですので、地域の皆さんからも同じように応援してもらえるようなそういうチームでありたいと。卓球部は各地のイベントなどによく参加しています。

 みんなよく練習して、頑張ってくれていると思うので、その成果を形として、一言で言うと優勝させてあげたいなと、そういう気持でいつも応援しています。やはり日本リーグに照準を合わせて、ニッセイさんを破って勝たせてやりたい。

 十六銀行は、注目されるような秀でた選手はいないかもしれませんが、粒ぞろいな選手が気持ちを一つにして戦っていくというチームなので、気軽に声をかけていただきながら応援していただければ、お付き合いさせていただければと思います」

 部長の気持ちに応えるように選手の目標はひとつにまとまっている。バラバラに話を聞いたが、誰もが「ニッセイを倒して優勝したい」と口をそろえた。

「チャンスは何度か必ずある」

 田勢美貴江は力強く話す。

 キャプテンの潮ア由香は、

「日本リーグで優勝するという目標があって、それを達成するためにはニッセイという大きな壁がある。それを倒さなければ優勝はない。それは普段から意識してやっている。あとは試合の時に自分の力を自信を持って発揮できればいい方向に行くと思う。チームもそういう雰囲気になっていけばチャンスが出てくる。勢いも大事」と静かなる闘志を燃やす。

 次は10月に全日本団体の部がある。そして、12月には日本リーグ。今年からプレーオフ制となったため、チーム、選手にとっては最高の舞台が用意されている。

「日本リーグはずっと2位が続いているので、もう一味加えなければいけないのかなと思っています。ただ、日本生命はもう一つ上を考えている。国内の大会を勝たなければ世界で勝てないという意識でいる。うちも選手とコーチはそういう意識があると思うが、日本全体としても結果が出ていないので、これをやれば世界で勝てるということを知っている人は、たぶんいないのではないかと思う。

また、団体で日本一をとるにはこういう感じかなとイメージが出てきたが、シングルスのチャンピオンを出す練習はどうなのか。選手には全日本チャンピオンを意識してもらいたいし、それを出す練習はどういうものか考えながらやっていきたい」

 河田監督もまた、物静かではあるが内に秘めた闘志を感じる。

 河田監督が語るようにチームにとっての目標は日本リーグ、個人の目標は全日本チャンピオン。そこをクリアしてこそ世界への道が開けるのかもしれない。

33 32  十六銀行の練習場を訪れたのははじめてだった。その建物は岐阜市の都市景観重要建築物に指定されている。そして、練習場の中に大きな金庫があるあたり、さすがは銀行といった雰囲気。取材の日は、実はオフで練習を拝見することはできなかったが、オフの中、河田監督をはじめ選手の皆さんは快く取材に応じてくれた。

 

 実業団では3連覇を逃したが、十六銀行の、そして選手個々の挑戦はまだまだ続く。