「日本生命」強さの秘密(4)(グランドスラムと世界を目指して)
12年間で48回中32回の団体戦のタイトルを獲得している『日本生命』。これまでお伝えしてきたように日本一になるべく環境を整え、高い意識を持って選手強化をしてきた結果である。だが、年間4大会をすべて優勝するグランドスラムを達成したのは平成12年の一度だけである。常勝チームといえど勝ち続けることは難しいということを物語っている。また、日本生命を破る力を持ったチームが常時日本リーグの中にひしめいているとも言える。
「昨年も目標であったが、できなかったことは『グランドスラム』。実業団で負けていることが多くて、実業団で優勝した年は総合団体で負けたり、何かひとつ負けてしまうことがあるので、できたら4つ獲りたいという思いは強いです。私が入ってからは1度もないので…」とキャプテンの岸田ははっきりとグランドスラムを意識する。それは選手にとってもチームにとっても成し遂げたい大きな目標なのだ。
しかし、村上監督は、当然のことながらさらに上を常に意識している。「優勝は一つのノルマ」と話す。
「優勝してはじめて世界やオリンピックに挑戦できるものを会社は与えてくれる。優勝をひとつの土台として、ある選手にとっては世界選手権、ある選手はオリンピックを目指す。今は中国に勝てないけど、中国のビッグ3には時々は勝てるようにしたいとは思っています」
優勝することはもはや当たり前のこと。国内で優勝することをステップとし、世界で勝てるようにする。特に王者中国に立ち向かっていくことを大きな目標としているようだ。
「中国のトップ3人に勝つのは並大抵ではできませんが、それを目標にしています。非常に、難しいとは感じています。できたらうちみたいな組織、練習環境で、小学生から育成できるシステムがあれば理想ですね」と話す。
確かに中国に勝つには最低でも中国と同じようなことができなければ対抗すらできない。最高の環境と思える日本生命だが、中国の選手育成システムはそのさらに上をいっているということだ。
ところで、村上監督は現在女子ナショナルチームのヘッドコーチを務めているが、日本生命での経験はそのままナショナルチームでも生かされている。それは監督やコーチはそれぞれの役割を持って取り組まなければうまく機能しないということ。つまり、総合的なマネージメントをするのは監督の役目。そのほか、技術を教えるコーチ、メンタルのコーチ、体をケアするコーチ、雑務をこなすマネージャーなど分業にしている。監督が何から何までやっていてはいい選手、いいチームはなかなかできない。
「以前、ナショナルチームを作る時に一流の監督ばかりを集めてうまくいかないことがありました。日本生命でも私みたいな人が二人いたら意見が対立してうまくいかないと思います。それぞれの得意分野を生かせるスタッフ構成が大事なのです」
なるほど。確かにどんな一流の監督であってももし同じチームに二人以上いれば意見は対立するだろうし、方向性が定まらないかもしれない。舵取りは一人いればいいということ。しかも、その一人が何から何までやろうとすれば、やはり限界がある。それぞれの分野に精通した人をいかに揃えられるかということがいいチームを作る条件なのだ。
4回にわたり、日本生命の強さの秘密に迫ってみた。すべてを伝えることはできなかったが、参考になる点はあったと思う。
日本リーグでは今年からプレーオフ制を採用するので、グランドスラムは日本リーグ前期、後期、プレーオフ、全日本実業団、全日本団体の実質5冠となる。
果たして日本生命のグランドスラムは達成なるのか。今後もその戦いを見守っていきたい。
